「施設選びのポイントってどんな点ですか?」と聞かれました。
一足飛びに「施設に入る」という選択の前に、家に住みながら、ヘルパーやデイサービス、ショートステイなどを使って、支援を受けながら今までの生活を維持する方法を模索してほしいと思っています。(それはまたの機会にアップします)でも、もう、施設に入る以外の選択はないな、となった時には以下がポイントになってくるのではないでしょうか。
大前提;どこの地域の施設を選ぶのか
たいてい、ご本人の住まいの近くにするか、子どもの住む地域にするかという点で大きく悩まれることが多いと思います。
・ご本人の住まいの近く→家族には不便でも本人は安心。本人の兄弟姉妹や親せきがフォローできるなら、できるなら住み慣れた土地がいいでしょう。
・家族の住まいの近く→ご本人が納得していれば、家族が関わりやすいでしょう。
なぜ、ご本人の住まいの近くをできるだけ選んでほしいのかという点をご説明します。先日も、「高齢の親戚に『遠くの施設にいれたら死んでしまう』などという話を聞きますが大丈夫でしょうか」と聞かれました。
もちろん、そんな因果関係はありません。けれど、認知の面で問題がない方の場合は、町内会や友人といった関わりがある方の場合では生きがいを失ったり、家で家事をするルーチンで生活を安定させていた方は、生活のリズムが崩れ、いずれも老人性うつなどになる事もあります。もちろん迷信のような話ですが。ここが一番、本人との話合いが必要な点だろうなと思います。
また、身体は不自由だが認知がしっかりしている、認知に問題はあるがADL(基本的な日常生活動作)に問題がない、と言った方の場合は、要介護3になる事があります。けれど、要介護3以上で特養(特別養護老人ホーム…公的施設なため民間の老人ホームより待ち時間は長いが安い)に入ることができたとしても、特養は寝たきりの人が多い場合も多く、入ってから本人がやる事がなく、話し相手もいないという事になります。たとえば、サ高住はそこに住みながらデイサービスに通って社会的交流ができますが、特養の場合は、特養からデイサービスに通う事はできません。その特養が、レクリエーションなどに力をいれていないと、社会的交流面で寂しい思いをされると思います。
前置きが長くなりましたが、以上の事を踏まえた上で、施設選びのポイントを整理したいと思います。
最近ではコロナで施設見学もままならないので、お話を聞く際に、事前に聞く点をメモしていって確認する事が重要ですね。
ポイント1 事務的な面できちんとしているか
事務的な面できちんとしているかどうかは、とっても大きなポイントです。もちろんケースとしては少ないのですが、私の知る施設でも、突然閉鎖になったり、資金面で問題を抱えていたりといった場合もありました。
・見学の申し込み時の応対や、事務手続きの時に安心できる対応か
・特に入居にあたってのお金の話、病気やけがの際の対応、退去の時のルール、貴重品管理などに対して、丁寧にわかりやすい説明を受けられる
・入居率や従業員の定着率が安定している
これらの点を確認することが大切ですね。
ポイント2 安全が確保されているか
施設で一番大切にしたいのは、安全安心な介護が行われているかです。テレビなどで虐待のニュースを見て不安に思う方も多いと思います。虐待は、論外ですが、介護事故というのは、どんなにきちんとした対応をしている施設でも、どうしても起きてしまうものです。大切なのは、その介護事故を起こさないために、ヒヤリハットを共有するなどリスク管理や従業員教育がなされているか、さらに、介護事故が起きた時に対応するためのマニュアルや体制ができているか、ここが重要です。
・従業員の体制(昼間、夜間それぞれの従業員の人数など)
・医療体制→看護師の人数と時間帯と役割、薬の管理方法、地域の医師との連携、入院が必要な場合の対応
・事故が起きた時の対応方法
・災害時の対応について(地震など)
これらの事も、見学時に必ず確認しましょう。
ポイント3 生活の場として見た時に自分が住むとして満足か
自分が旅行に行く際に、旅館やホテルを選ぶ時、もしくは行った先で考えることと同じです。自分の事と考えてきちんと施設をチェックしてください。
・清潔でそうじが行き届いているか、車いすの手入れ、リネンの交換の頻度、観葉植物など癒しの空間となっているか
・(特に介護度が高い方の場合)風呂場の見学、入浴時の介護職のかかわり方、食事はおいしいか(以前は試食できる場合が多かったのですが、今はできないので写真を見せてもらうなど)食事介助などの考え方、トイレ誘導やおむつ交換の頻度や方法について、居室での生活について介護職のかかわり方、居室とオープンスペースで過ごす場合の割合
・一日のスケジュール(介護度が低い方の場合は、レクリエーションなどが充実しているか)
ポイント4 従業員や利用者のみなさんがいきいきとしているか
現在なかなか施設の見学はできませんが、見学ができるのであれば、ぜひ、従業員や他の利用者様の様子を見てほしいと思います。従業員が明るく挨拶をしてくれて、従業員同士の連携がよく、従業員と利用者様が楽しそうに会話を交わし、利用者様も笑顔でいる、そんな施設がいいですね。もちろん介護度が高い方が多い施設の場合ですと、利用者様自身が寝たきりだったりすると話しかけても答えは返ってこない方もいます。私は、そうした方であっても、こちらの話は聞こえていると思って接してきました。実際に、笑いながらあれこれ話しかければ、相手も安心した表情になっていたと感じていました。目をくりくりさせて、しゃべる私の顔をじーっとみてくれているだけで、やる気になったものです。そうした従業員と利用者様の関係性を見られるといいですね!
ポイント5 施設長が思いをもって施設運営をしているか
特に見学ができない場合は、ここが唯一の確認の窓口となってしまいます。以下の点をきちんと確認しましょう。
・「どんな施設にしたいと考えている」といった自分なりのビジョンを持った方か
・従業員のキャリアを考えているか→マネジメント、キャリアパス、研修制度など
そして、何よりも人として信頼できる方か、自分の親をまかせられるのか、その点をきちんと確認することが重要です。
以上の5つのポイントをぜひ確認してくださいね!
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