独居で認知症になった方が「身寄りのない方」や、子や親族がいても、親しくなかったりした場合には介護サービスを受けたり、施設に入る判断をしたりもしくは財産や不動産の管理をどうするのでしょう。
介護の仕事をしている時、「成年後見人」として弁護士の方が諸々の手続きを代理で行っていました。そこでこの「成年後見制度」について調べてみました。
成年後見制度とは、認知症高齢者など十分な判断能力がない方を保護するための制度で法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度
選任された保護者が対象者に変わって財産管理(不動産や家賃の管理含む)や身上監護(施設入所の際など福祉サービスの契約など)に携わります。
法定後見制度には「後見」「保佐」「補助」があり、
後見は「判断り能力が欠けているのが通常の状態の人で本人の同意が不要」
→財産管理に関する法律行為の全般的な代理権
保佐は「判断能力が著しく不十分な人で本人の同意が不要」
補助は「判断能力が不十分な人」で本人の同意が必要
→いずれも特定の法律行為についての代理権(申し立てによる)
この制度を利用するには、家庭裁判所に対して後見の申し立てを行うのですが申し立てを行う人は
「本人」「配偶者」「4親等以内の親族」「未成年後見人」「市町村長」「検察官」
申し立てを受けて家庭裁判所が判断能力を判定し、後見人等を家庭裁判所が選任します。
後見人は「親族」と「親族以外の第三者後見人」の2種類ありここ最近ではこの「親族以外の第三者後見人」である司法書士、弁護士、社会福祉士などの専門職が増えているとのことです。
令和2年では
1位 司法書士 11184件 2位 弁護士 7731件
3位 社会福祉士 5437件 4位 子 3911件
5位 その他法人 2034件
(出所;最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」令和2年1月~12月)
この資料によると
親族が成年後見人等に選ばれた割合は約19.7%、(前年は21.8%)、
親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたのは全体の80.3%(前年は約78.2%)とのこと。
任意後見制度
対象者本人が、判断能力の低下する前に任意後見人を選び契約を結ぶ制度で、委任契約により、当事者間で合意した特定の法律行為についての代理権に基づき支援を行います。
「本人」、「配偶者」、「4親等内の親族」、「任意後見受任者」により監督人選任の申し立てができ、家庭裁判所に申し立てが行われ選任される(選ぶのは家庭裁判所ではなく対象者本人という点が法定後見との一番の違いですね)ことで任意後見が開始されます。
1990年には4.4%だった50歳~54歳の未婚率が、2015年には20.9%となっています。1990年の50歳は現在80代。2052年にはもっともっと、成年後見人が必要となることが予想されます。
また、「終活講座」なども行い、成年後見人や遺産相続などに詳しい行政書士の島田満俊先生に、実際の話をいろいろと伺ってきました。
成年後見制度の活用にあたっての主なメリットとデメリット
<主なメリット>
◆判断能力を失った本人の代理人として、預貯金・不動産を管理・処分できる。
◆本人の代理人に施設への入所等の手続き(契約行為)ができる。
◆不必要な契約をしても取り消すことができる(法定後見人のみの権限)」
<主なデメリット>
◆任意後見制度を利用する場合は、任意後見契約を締結する必要がある。
◆認知症が進行した後は法定後見制度しか利用できない。
◆継続的に費用がかかり、費用がいつまでかかるかわからない。
◆成年後見制度を利用し始めると、原則として、やめることができない
また、財産管理・資産承継に関する制度について段階事に整理されていいて、
「元気で健康」→「体調・判断能力の低下」→「判断能力・管理能力の喪失」
の3段階によって理解する必要があり、
「元気で健康」or「体調・判断能力の低下」
◆見守り契約(セキュリティ会社や、郵便局などで行っている 定期面談、電話での近況確認など)
◆委任契約(金銭管理や事務手続き等個別の委任契約事項を代理人が処理)
「判断能力・管理能力の喪失」
◆任意後見(「元気で健康or体調・判断能力の低下」の際に本人が指名)
◆法定後見(家庭裁判所による選任)
また、遺産についても、法定相続にするのか、そうでなければ遺言の準備なども「元気で健康or体調・判断能力の低下」の段階で取り組む必要がありますね!
島田先生曰く
「お金は争わせます。医療や介護は迷わせます。 だからぜひ、エンディングノートを準備していきましょう!」
勉強になりました!
コメントを残す